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高森明勅
2019.1.18 16:02皇室

皇太子・同妃両殿下の御歌

「光」のお題で詠まれた皇太子殿下の御歌。
 
雲間より
さしたる光に
導かれ
われ登りゆく
金峰(きんぷ)の峰に
 
金峰山(きんぷさん、山梨県・長野県)は
奥秩父連峰の盟主と呼ばれる山。
 
その山容は重厚雄大。
 
ところが殿下はこの御歌で、
天地全てを視野に収めておられる。
 
まことに気宇壮大。
 
だから、さしもの金峰山も、
殿下の視野の一部でしかない。
 
その上で、雲間から差して来る光に
「導かれ」と、へりくだったご姿勢は揺るがない。
 
下(しも)2句「われ登りゆく 金峰の峰に」の、
潔く、磐石(ばんじゃく)な据わりようは、
尋常ではない。
 
皇位継承へのご覚悟がみなぎる御作と拝した。
 
有難い。
 
皇太子妃殿下の御歌。
 
大君と
母宮(ははみや)の愛(め)でし
御園生(みそのふ)の
白樺冴ゆる
朝の光に
 
両陛下へのお気持ちを
「白樺」に託してお詠みになった。
 
この御歌で詠まれているのは、
両陛下が愛された御苑の白樺が、
朝日に照らされて、くっきりと
鮮やかに見えている情景だ。
 
白樺は言うまでもなく、
皇后陛下の「お印(しるし)」。
 
しかも、白樺が皇后陛下の
お印に決まったのは、天皇陛下と最初に出会われた、
軽井沢にちなむとされている。
 
妃殿下は、
両陛下のお出会い以来の長い歳月に、
静かに思いを寄せておられる。
 
ご譲位を控え、これまで長年に亘(わた)り、
ひたすら国民の為に努力を重ねて来られた、
両陛下への深い尊敬と感謝のお気持ちを籠めて、
この御歌を両陛下に捧げられた。
 
詠まれた情景も清々(すがすが)しく、
両陛下に相応しい。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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